超簡単!教科書に載ってない採血部位の選び方とコツ
2017/09/17
大切なのは血管選び!
手順はよく分かっていても失敗する事もしばしばあるのが採血。採血で大切なのは血管選びだと思っています。採血のコツをまとめてみました。
血管の選び方
採血で大切なのは血管選び!
とにかく弾力のある血管、見えても見えていなくても弾力が一番です。
理想をいえば、太い。プリッとしている。まっすぐ。血液量がある。正中近くにある動きにくい血管(神経損傷を避ける為)、先がYの字になっており、この分岐部分であればさらに血管は逃げにくいので理想的。
しかしながら・・
こんな血管は腕をよく使う人や、若い人の多い健康診断でもなければなかなかいません。入院している高齢患者さんは、血管の弾力性が低くて、血管が動きやすくて、血管が蛇行してい人が多いです。
しかし、どんな患者さんでも基本は、理想を探します。弾力がある(血管壁が太い)事がまず第一!さらに、蛇行していない。血液量がある。このあたりが意識したいところです。
理想の血管の探し方
血管をさがす時に意識したいのが、目で見るより触って確かめる事だと思います。
見えなくてもきちんと触れる事が出来る、たとえ深いところにあっても太い血管を探す事が大切になります。そんな血管を探すときのコツは、針を刺すところだけを見るのではなくて、その血管全体をみる事です。
たとえば、「この血管、途中までみえていて、この先は目視できないけど・・、血管の上下の走行をみてると、このあたりにプリプリのやつがあるはずだぞ!」と予想は出来ます。
血管全体を見る為に、患者さんの腕を一本丸ごとおかりしまして、前腕から上腕まで、血管の流れを見る為に、時にはくるっと回して確かめたりもします。
そのような理想に近い血管を指先で触れて確認します。ちなみに探すときにはゴム手袋を外したほうが分かりやすいと思います。
そうして、弾力のある理想に近い血管を探すのですが、それでも駄目なときには・・
血管を目立たせよう!
・朝一番の採血など、まったく見えそうにない場合は事前に腕を暖めます。温罨法で血液循環をよくすることで血管に触れるようになる事も多いです。
・朝は脱水気味なので、採血の種類を確認してから、温かい飲み物を飲んでもらうこともあります。
・採血の直前に、駆血帯を締めて末梢から中枢にマッサージを行うと、見えなかった血管が浮き出てきます。
ここまでが血管さがしのお話になります。そして血管を選ぶとき、採血してはいけない腕があるので意識しておいて下さればと思います。それが以下・・
選んではいけない腕
・静脈注射中の血管←(血液に薬剤が混入していると検査結果に影響を与えてしまう為)
・同じ理由でヘパリンロックしている血管。
・半側麻痺側←(採血しても血液の循環が悪く失敗します)
・シャントを造設している場合シャント側(もちろんぜったい駄目)
・マンマの手術後の患者さんの手術側の腕
あとは・・採血の内容に沿ってないタイミングの採血も駄目です。
病棟で多いのは、血糖(空腹時、ターゲスの際など指示どおりに。食後2時間など)やアンモニア(食後1~4 時間でアンモニアは約2倍になるので、朝の空腹安静時に採血することが多い)です。指示を確認して注意が必要です。
また、採血は末梢に行くほど神経が沢山集まっているから痛いそうです。途中で血が引けてこない事もあるので、採血する部位を選ぶ場合、手背や足背は最終手段にしたいところです。
失敗しない!痛くない採血の為に!意識したい技術
血管選びの次はやっと技術についてのお話です。とはいっても、技術は教科書に書いてあるとおり。それほど血管選びが重要です。よい血管が見つけられたら、恐れる事はありません。
大まかな手順と注意点です。
1 物品を自分のやりやすい位置に用意
手洗いはすんでるものとして・・すすめます
2 患者さんとラベルの再確認して患者さんの姿勢を整える
3 上腕を駆血帯で駆血 手袋も装着
4 採血部位を確認し、消毒
患者さんにアルコールアレルギー確認も!
5 針を刺してきます
皮膚を手前に引っ張ります⇐ 針を刺すとき、血管を固定する為に、きちんと抑えないと血管が逃げてしまうので。引っ張る部位はだいたい3cm程度手前。
皮膚が十分に張っていると、針が皮膚を突き抜ける時間が短くなるので、痛みを感じる時間が少ないです。
針の深さ⇐ 一般的には針の3分の1程度。角度は大体15~30度以内ですが、皮下脂肪が厚い人など、深いところに血管がある場合は角度をつけることもあります。
刺入スピード⇐ ゆっくりだと痛みを感じやすいのでスッと刺します。
慣れてくると、血管を刺した手応えをつかめると思うので、この手ごたえを感じたら、スピードを緩めて、シリンジの固定がずれて血液が引けなくなるなんて事がないように、針先を水平に近い角度で少しだけ進み、血管内に留置します。
刺入部を動かすと痛いので絶対に刺入部の固定は最初から最後までしっかりと行います。
くりかえしになりますが、痛くない採血の為にはスピードと、刺入部の固定と、失敗しない血管選びが大切です。
6 溶血しない為ゆっくりとシリンジで吸引
7 必要量採取できたら、採血針を留置したまま駆血帯を外します
8 針をそっと引き抜きアルコール綿で押さえつつ圧迫。
5分は患者さんに抑えておいてもらうか、テープやバンドで固定します。
9 針は針箱へ
リキャップしないなど針刺しには気をつけて。採血ホルダーと採血針は接続したまま専用の廃棄容器に捨てます。危ないので。
10 患者さんの様子を観察。
揉まないように声かけ。揉むとうまく止血できなくなり、皮下出血につながります。(高齢者の場合、すぐに紫斑になり、1週間程度は見る度に胸を痛める事になりますよ~)
失敗しない採血の為の注意点
・腕を心臓の高さより下げること(きつく締めすぎたり、前腕をしごきすぎたり、グーパーさせるのは、筋肉の収縮によってカリウムが高くなって報告されてしまいますのでお勧めできません)
・駆血帯をしめすぎないこと(上記の理由もありますが、強すぎると動脈までしめてしまい駆血帯の先の血流が止められます)
・血管だけでなく神経の走行も頭にいれておく。神経損傷の恐れが無いか確認する為に、痺れが無いかを聞いて、訴えがあればすぐに中止する。
・針を刺した後探らない(痛いです。患者さんは探った看護師の名前を忘れる事は無いかと・・)
・注射器を用いた採血だと慌てて吸引すると溶血して再検査なんて事もあるので、急がない。
・基本的な教科書にある手順と注意点は記憶しておく (イメトレ大事)
・二回失敗したら相性が悪いと思って交代する。リラックス~
終わりに
新人の頃は外科病棟だったので、夜勤業務に入ると、明け方の1時間で20人前後の採血を行いました、血管が見つからなくても、忙しい中で先輩にお願いすることがなかなか言い出せず、採血と失敗する事を常に恐れていました。患者さんの痛みが第一優先なのに、こんな自分中心の余裕の無いところが失敗の原因だったと思います・・。
慣れてくると患者さんの前でも世間話をしながら採血ができるのですが、不思議とお互いがリラックスしているほうがうまくいきます。
血管は心臓と心とつながっていて、緊張していると逃げてしまう、とっても繊細な子なのかもしれませんよ~♥